韓半島の統一の韓日関係

ラ・ジョンイル 東国大学客員教授(前大統領府国家安保補佐官)
三つの逸話
重く重要なテーマの前にいくつかのエピソードを紹介したいと思います。周知のとおり、今から70年余り前、金日成はソ連のスターリンの許可と助力を得て韓国を侵略しました。この時から3年間、韓半島は人命と財産の破壊に包まれます。一方、日本は戦争で焦土化した経済が復興するという、いわゆる戦争特需を享受するようになりました。それについて、金大中大統領は私的な席で、韓国人がこのような現実に関して悪く思ってはいけないと言ったことがあります。これは韓国の政治家としてはなかなか言いにくい言葉でした。それでも金大中大統領は次のような考えを持っておりました。もし日本がオーストラリアのように遠いところにあるなら、私たちが共産軍を退けることはできなかったであろう。幸いにも産業能力が優秀な日本が近くにあったため、韓国側の軍需、兵站、補給などの問題を円滑にすることができたということでした。
次のエピソードです。もう20数年前の話です。北朝鮮の陸上選手が競技に必要なスニーカーがなく、困っていた時がありました。そんななかで、すばらしいスニーカーを作る会社が日本にありました。私はその会社に、北朝鮮の選手たちにスニーカーを提供してみたらどうかと言葉をかけてみました。その方の答えは、北朝鮮が日本人、特に女性をたくさん拉致していったので、日本の世論も悪化して難しいということでした。私はもう一度考えてみるように促してみました。たしかに、日本人を拉致したことは、全くもって許されないことでした。しかし、それは政治権力者たちがしたことであり、スニーカーの件は道具がなくて困っている運動選手たちの問題です。政治的な効果を狙っているわけではなくとも、日本の民間の助けを受けた選手や体育会系の人たちは、日本に対して、そして自分の国の権力者たちがしたことについて、どう思うでしょうか。ですが、結局のところ必要な後援は得られませんでした。

そして北朝鮮が食糧不足で困っていたときの逸話です。日本は北朝鮮に5万トンのコメを支援することにしました。しかし、やはり北朝鮮が多くの日本人を拉致していったことが知られると、この計画を中止となりました。この時も私はこれは正しくない対応だと指摘しました。食糧不足で困っている北朝鮮住民の多くは日本人拉致とは直接関係のない人たちです。日本人たちを拉致して自分たちの不法な政治的目的に使おうとする人々は食糧が足りなくても不便なことがない人々です。日本政府が何らかの行動で北朝鮮政府の不法で非倫理的な行動に制裁を加えようとするならば、まずは、日本から輸入しているぜいたく品の輸出禁止ができるだろうという話をしました。その当時、北朝鮮の金正日委員長が日本から定期的に高価な特定の高級食品のショッピングをしているとされていました。
韓半島の統一
韓半島はいつの日か必ず統一されるでしょう。理由は簡単です。多くの人がそれを切望しているからです。たしかに、最近では特に韓国の若年層で統一への関心や期待が薄れているのは事実です。これには二つの原因があります。北朝鮮の閉鎖性もあって双方の交流が難しいからです。第二に、大韓民国はその間、多くの難関を克服し、政治的にも社会的にも、そして特に文化の面で多くの発展を成し遂げ、いわゆる先進国レベルの国になりました。一方で、北朝鮮はあらゆる面で数十年前の生活水準にとどまっています。若者の関心が落ちるしかありません。しかし、分断で最も苦境に立たされているのも韓国と北朝鮮の若者たちです。人生の最も創意的で躍動的な時期に、韓国は1年半、北朝鮮は最高10年余り軍に服務をします。
韓民族はすでに千年以上、一つの国として生きてきました。大戦直後、世界的な冷戦時代における戦争によって、分断が固定化されましたが、このままでは双方とも一時しのぎで存在するしかありません。分断が続く限り、双方とも精神的·物質的両面で莫大な分断費用を支払わなければなりません。韓国と北朝鮮を通じて1千万の離散家族が再会の機会を待ち望んでいます。第二に、分断はこの地域全体の不安定要因として残ります。韓半島の周辺には世界で最も強力な国々が位置しています。韓半島が不安な分断を維持する限り、この地域は安定した平和を享受することは難しいでしょう。
韓半島の統一のために韓日関係
韓日両国は経済や外交、安保などの領域において、すでに多くの交流と協力を行っています。安全保障の領域において、両国は特にアメリカとともに相互に不可欠な関係としてつながっています。それだけでなく日本が韓半島の統一のため、あるいは統一以後の経済や社会的な問題に関して多くの寄与ができると思います。しかし、先に述べたように、国と国の関係と人と人の関係は少し違う次元の問題です。韓日の間にはすでに民間レベルで交流と協力を振興する多くの事業があります。高円宮記念日韓交流基金もその一つです。両国の間では、文化、学術、体育などいろいろな分野の交流が行われています。しかし、まだ未解決の問題が残っています。
過去事の理解と未来への開拓
韓日両国の関係において最も難しい問題は、今でも過去、つまり主に前世紀の前半期に起きたことに対する両国国民の理解が交錯していることです。日本側は「悪いことをしたことがない」あるいは「すでに十分に謝った」「賠償問題もすべて終わった」という立場のいずれかです。それに対して韓国側では、日本が十分に謝っておらず、賠償問題も解決されていないという立場です。これには法的または技術的な問題が絡んでいるため、双方に適切な解決策があるとは言えない状況です。
私はこの問題は過去の歴史を直視して、正しく考える姿勢がなければならないと思います。過去の出来事に対して日本の徹底的な反省を妨げるものとしては、その当時の世界ではいわゆる先進的な国々が実は日本と大きく変わらず、いわゆる富国強兵、領土拡張、植民地開拓などの行動に従ったという論理です。そのような観点から、日本も特別に悪いことをしたわけではないという考えです。このような考えになってしまうと、今後、経済力と軍事力を備えた国が、日本が過去にしたようなことをしても、これを批判してただす根拠にならなくなります。実際、そのようなことは今でも起こっています。
人類の未来はただ過去の繰り返しになってはいけません。これを早くから警告したのが安重根の「東洋平和論」と1919年3月1日の「己未独立宣言書」です。人類が過去の過ちを徹底的に反省し、新しい世代のために新しい姿勢で臨むことを期待します。韓半島が統一によって正常な状況として回復することも、このようなことの一つなのです。