北朝鮮第9回党大会、評価と展望

チェ・ヨンファン(国家安保戦略研究院)
2026年2月19日から25日まで、北朝鮮労働党第9回党大会が平壌で開催された。2021年の第8回党大会以来5年ぶりに開催された今回の会議で、北朝鮮は過去5年間に多くの成果があったと自賛し、今後の国家戦略路線を提示した。
経済・国防並進路線2.0
対内的には経済戦略路線を具体的に提示することはできなかったが、内容的には「経済・国防並進路線2.0」と呼べる政策を採用したものと見られる。2018年、北朝鮮は2013年以降推進してきた経済・核並進路線を結束(終結)させ、経済建設総力集中路線を採用したことがある。しかし2019年以降、北朝鮮は経済建設総力集中路線に言及できていない。これはコロナ19危機などを経験しながら経済難が深刻化した結果と推定される。実際、北朝鮮は2021年の第8回党大会で経済部門の整備・強化を強調するほど守勢的な立場を示してきた。ところが今回の第9回党大会で、北朝鮮は再び国防と経済建設を並行して推進する立場を打ち出したのである。
従来、北朝鮮は限られた資源を国防と経済の両方に投入できないという政策的ジレンマを抱えていた。しかし第9回党大会で北朝鮮は、経済と国防が二者択一の問題ではなく並行発展が可能だという自信を示している。北朝鮮のこうした自信はウクライナ戦争後のロシア特需などに基づくものと見られる。経済への強調は北朝鮮の人事にも表れており、内閣総理の朴泰成が政治局常務委員会で金正恩に次ぐ地位を占めたことからも分かる。

対米、条件付き強硬路線 & 対南、冷たい平和
対外関係においては「党中央」の役割及び「国益」への強調が顕著である。これは第一に、金正恩ら最高指導部が直接対外戦略を掌握する意味である。もちろん過去にも対外関係で最高指導者の役割が絶対的であったが、今後は実務部門の役割よりも最高指導者と党の役割がさらに強化されると見られる。金正恩が対外関係の全面に立つならば、これは首脳外交の強化として現れる可能性があり、今後の観察が必要と思われる。
北朝鮮が首脳外交を拡大する場合、その優先順位は米国及びアジア社会主義圏諸国となる可能性が高い。北朝鮮は今回の党大会で米国との関係改善の可能性を開いたと見ることができるため、米国の次の選択が注目される。ベトナム、ラオスなどの社会主義国家はもちろん、昨年の党創立記念行事へ外相を派遣したインドネシアなどアジア諸国の動きにも注目する必要があると思われる。
第二に、国益への強調は対外政策決定において柔軟な選択が可能であることを示唆する。依然として自主と正義などの価値に関する言及が消えていないが、国益への強調が加わればより実用的な選択が可能になる余地が生まれると言える。
対米関係に関する立場は、従来の北朝鮮の論旨をそのまま継承している。基本的には強硬政策基調を維持しつつ、米国が北朝鮮の核保有国としての地位を尊重し、敵視政策を撤回すれば、協力できない理由はないと述べている。米国のトランプ大統領の米朝首脳会談への関心を考慮すると、北朝鮮も首脳会談を念頭に置いているようだ。
対米関係とは異なり、対南立場は非常に冷淡な基調を維持している。従来の敵対的二国家論基調を変更する余地はないと強調している。ただし、積極的に敵対性を表出するよりは、韓国が現状変更を試みないならば北朝鮮も現状維持路線を維持するであろうと述べているため、今後の南北関係はいわゆる冷たい平和(cold peace)状態になる見通しだ。今回の党大会報道で北朝鮮が相当な分量を南北関係に割いていること自体は、従来の北朝鮮の対南政策基調を考慮するとやや異例な部分である。敵対的二国家基調を維持しているにもかかわらず、逆説的に依然として韓国を大きく意識していることを示唆しているためだ。
変化とともに安定性を追求した人事
今回の党大会と総会を通じて、北朝鮮は多数の人事を断行した。第8回党大会と比較すると、量的交代比率は多少減少した。中央指導機関250名を基準にすると、第8回党大会では66%が交代したのに対し、今回の第9回党大会では56%程度の人事交代率を示している。
内容的に見ると、崔龍海、李炳哲など旧世代が退陣し、金正恩時代の人物への交代が実現した。特に実務に精通した専門家の人事登用が顕著である。これは正面突破戦の危機局面を過ぎ、安定的な成長を目指す政策的意志が込められた選択と解釈できる。
今回の党大会人事のもう一つの特徴は、政治局と秘書局及び専門部門人事の一体化現象が顕著である点だ。党書記11名全員が専門部門の部長を兼務すると同時に政治局員に任命された。彼らが各分野別政策の実務総括を担うならば、彼らの去就変化はそれ自体が北朝鮮の部門別政策成果を判断するリトマス試験紙として機能することになるだろう。
個別の人事の中では、金与正の党中央委員会部長昇進及び政治局候補委員再入が目を引く。ただし、いわゆる白頭血統である金与正の職位変化自体が特別な意味を持つとは考えにくい。おそらく金与正は対外・対南・宣伝など既存の包括的任務をそのまま遂行しつつ、その役割に相応しい地位を確保したものと判断される。
金英哲、李善権など従来の南北関係を担当していた人事が退陣した一方、過去に統一戦線部長を務めた張錦哲が台頭したことも注目すべき点である。張錦哲は中央委員に復帰しただけでなく、対外部門の研究・協議会の壇上にも着席し議論に参加したためである。今後、張錦哲がどのような役割を担うかは注視すべきだが、南北関係に関して悪い兆候ではないと思われる。
今後の展望と課題
北朝鮮は第8回党大会以降の成果と自信を持って第9回党大会を開催し、今後も既存の対内外戦略をより積極的に推進すると見られる。対内的には金正恩体制の固守に一層注力する一方、民生などの経済問題に多くの関心を示すとみられる。国防力強化の趨勢も持続するだろう。対外的には中露との関係強化に加え、米朝関係及び社会主義諸国との関係改善にも関心を示すだろう。南北関係は依然として困難だが、敵対性よりも二国家性への強調が顕著になるだろう。
韓国政府としては忍耐力を持ち、朝鮮半島情勢変化の契機を設けようとする努力を継続する必要がある。南北関係においては限定的ではあるが北朝鮮が反応を示している点から、先制的かつ段階的な緊張緩和及び信頼構築措置を継続する必要がある。短期的には南北関係の進展を期待するのは難しいが、米朝関係において変化の契機が設けられる可能性がある点に注目する必要がある。米朝関係の変化を契機に南北関係に突破口を作り、これを通じて朝鮮半島情勢の変化を追求すべきであろう。
大国による自国利益中心の対外政策が交錯し、世界情勢の不確実性が増大している。朝鮮半島もまた、こうした状況において例外ではない。こうした情勢に対応するためには、朝鮮半島の平和が何よりも重要であるという点を国際社会に周知させる必要がある。