
キム・ミョンソンの北朝鮮インサイド

キム・ミョンソン SAND研究所専任研究員
プーチンの背に乗った金正恩、トランプに挑戦状「核武力強化不可逆的路線」
北朝鮮の金正恩国務委員長は、米大統領選挙でドナルド·トランプ大統領が当選してから10日後に「核武力強化路線は、すでに我々にとって不可逆的な政策になって久しい」と明らかにした。核武力路線の「不可逆的」政策を強調し、トランプに向かって絶対に核を放棄しないという意志を明らかにしたのだ。北朝鮮が今後トランプと交渉に乗り出すとしても、「非核化」ではなく「核軍縮」会談だけを受け入れるということを強調したのだ。

15日に開かれた北朝鮮軍大隊長、政治指導員大会で金正恩委員長が演説している。/朝鮮中央通信
朝鮮中央通信は18日、金委員長が大隊長·大隊政治指導員大会(15日)の演説において「残るのは、今すぐにでも核武力が戦争抑制の使命と第2の使命を遂行できるよう、さらに完璧な稼動態勢を整えること」とし、「核武力を中枢とする国家の自衛力を限界なく、満足することなく不断に強化していく」と述べたと伝えた。「核武力第2の使命」とは、金正恩が2022年から強調してきた表現であり、抑制の次元を越え先制核攻撃まで含まれた核兵器の実戦使用を意味する。
金委員長は米大統領選挙後、米国に対して直接批判の声を出したりもした。金正恩は、韓米日軍事協力が平和と安定を脅かす重大要素だとし、「米国主導の軍事同盟は、欧州とアジア太平洋地域を包括する、より広い範囲に拡大している」と指摘した。
この日、金正恩の演説内容のなかで「戦争」の表現が37回、「戦争準備」の表現は7回も言及された。金正恩は「我々の武力の各レベルは、すべての活動を戦争準備に徹底的に志向服従させ、その早い完成のために全てにおいて邁進しなければならない」とし、「現在の主客観的形勢において戦争準備完成はただの一日も先送りできない焦眉の課題だ」と強調した。
北朝鮮軍のロシア派兵については口を閉ざした。その代わり、「米国と西側がウクライナを突撃隊として繰り広げているロシアとの戦争を、徹頭徹尾実戦経験を増やし、軍事的介入範囲を全世界に拡大するための戦争と見なければならない」と主張した。 続いて「国際安保の形勢は第三次世界大戦が起きかねないという不安を増大させ、さらに危険な状況に突き進んでいる」として、その責任を米国などに転嫁した。
北朝鮮が、米大統領選挙後、露骨に核武力増強を公言し、戦争準備を強調したのは、ロシアの支持を受けているために可能であるという指摘が出ている。
金正恩は11日、事実上「軍事同盟」と評価されるロ朝の「包括的な戦略的パートナー関係に関する条約」を批准した。これはロシアのプーチン大統領の批准を待ってから2日後に処理したものと見られる。批准書の交換によって条約が発効すれば北朝鮮軍の戦闘参加、核·ミサイル技術協力などが本格化するということが展望されている。
北朝鮮が挑発の水位を高めるのは、ドナルド·トランプ米次期大統領の対北朝鮮戦略が具体化する前に、「北朝鮮自体の価値引き上げ」のためだという観測が出ている。ロシアの支持を追い風に挑発を極大化し、トランプの対北朝鮮政策の優先順位に影響を与えようという意図であるということだ。
金正恩、独自生産の「自爆無人機」性能試験指導、大量量産注文
北朝鮮の金正恩国務委員長が自爆攻撃型無人機の性能試験を指導し、大量生産を注文した。多様な無人機が標的を攻撃する場面を公開し、研究段階を越えて量産段階に突入したことを明らかにしようとする意図と目される。
北朝鮮の朝鮮中央通信は15日、金正恩がその前日、無人航空機技術連合体傘下の研究所と企業所で生産した各種自爆型攻撃無人機の性能試験を現地で指導したと報じた。
同通信は同日、性能試験において各種無人機が多様に設定された打撃圏距離の戦術航路に沿って飛行し、標的を精密攻撃したと伝えた。
金正恩は「世界的に無人機を軍事力の主要手段として利用するための競争が加速化している」とし「生産費用が少なく生産工程が単純で新しい領域で打撃力の一つの構成部分として活用することが容易になっている」と話した。続けて、「無人機が大小の紛争で明白な成果を上げているということに対しては、おそらく全世界の軍部が全て認めているだろう」とし、「これは今日の軍事的側面で必須的な要求として登場した推移」であるとした。

北朝鮮の金正恩国務委員長が、北朝鮮が独自生産した各種無人機を視察したと、15日、北朝鮮官営メディアが報じた。/朝鮮中央通信
それとともに、「私たちは様々な無人機を生産導入できる可能性と潜在力を十分に持っており、現代戦の要求に合うように戦法上の側面でも新しく有望な戦術調法を結合適用する展望性を探ることになるだろう」と話した。
北朝鮮は同日、無人機がBMWセダンと推定される目標物に命中して爆発する様子を公開した。対韓国要人暗殺用に活用できるということを明らかにしようとしたものとみえる。
また、白色に塗色された多様な無人機が離陸させたり、標的を攻撃する場面、金正恩が地上に並んでいる無人機の横で指示する姿などの写真を公開した。モザイク処理された写真には、エイ型の翼と十字型の翼がついた攻撃無人機の他にも、長さがさらに短く見える円筒型の無人機も識別される。
金正恩が訪問した「無人航空技術連合体」は、これまで北朝鮮メディアで公開されなかった所である。労働新聞はこの場所に対して「党中央委員会で決定指示した事項を推進することで注目に値する成果を成し遂げている」と宣伝した。
金正恩は今年8月には国防科学院無人機研究所を現地指導し、「各種無人機」を試験したとだけ表現していた。北朝鮮が無人機分野の特化研究所と企業を独立させたものと推定される。北朝鮮の今回の報道と関連して、自爆攻撃型無人機が研究開発段階を経て量産段階に入ったことを明らかにする狙いがあるという観測がなされている。
北朝鮮軍1万人派兵、年間外貨収入最大13億ドルになる
北朝鮮軍1万人がロシアに派兵されウクライナ戦争に参戦した中で、参戦形態によって北朝鮮の年間外貨収入が3億2000万ドル~13億4000万ドル(4451億ウォン~1兆8638億ウォン)に達するという分析が出た。
韓国の国家安保戦略研究院のイム·スホ北朝鮮研究室責任研究委員は18日に発表した報告書「傭兵か同盟軍か: 北朝鮮軍ロシア派兵の得と失」で、1万人余りの北朝鮮軍がウクライナ戦争に参戦する場合、北朝鮮が得る経済的利益と戦略的·政治社会的得失を推算した。

ウクライナの有力ジャーナリスト、アンドリー·チャプリエンコが11月5日(現地時間)、テレグラムに「クルスク地域の北朝鮮軍の最初の動画」として掲載した映像の中の北朝鮮軍と推定される兵士たちの姿。/テレグラム
イム研究員の報告書によると、経済的利得分析に先立ち、北朝鮮軍の参戦形式を△ロシア軍所属の傭兵形式△正式同盟軍形式の2つに区分した。どのような形式で参戦したかによって、北朝鮮軍の給与水準も変わる。
現在、ロシア軍所属の外国人傭兵は月2000~3000ドルの給与と2000ドルの入隊一時金を受け取っている。このため、1万人が傭兵の形で参戦する場合、北朝鮮の年間外貨収入は3億2000万ドルと推算される。ただし、この場合、派兵軍の運用にかかる経費や派兵による北朝鮮内兵力の損失補填費など間接的な派兵経費は獲得できない可能性が高い。
同盟軍という形態で参戦する場合、ベトナム戦争に参戦した韓国軍の事例を基準に収入を推定した。ベトナム戦争当時、韓国軍は現在の価値に換算すると、1人当たり年間6384ドルを受け取っていた点を考慮すれば、現在、北朝鮮軍が傭兵として参戦する場合、1人当たりの年間所得(3万2000ドル)は当時の韓国軍の5倍だ。同盟軍形態の参戦は、直接派兵経費の他にも間接派兵経費を追加で受け取ることができる。ベトナム戦争参戦によって韓国が受けた間接派兵経費は直接派兵経費(給与)の3.2倍であった。このように推定した北朝鮮軍1人の年間所得は、13万4000ドルで、北朝鮮の年間外貨収入は13億4000万ドルと推定された。
イム研究委員は「北朝鮮が実際にどのような形態の参戦を決定するかは、経済的考慮よりは戦略的考慮によって行われる公算が大きい。北朝鮮は傭兵形態の参戦より正式同盟軍形態の参戦を好む可能性が高い」とし「ロシアの立場では傭兵形態の参戦を好む可能性が高いと見られる。間接派兵経費を支払わなくてもいいだけでなく、追加的な援助提供の負担を負わなくてもよいため」と話した。
報告書によると北朝鮮軍派兵の核心とは、外貨獲得よりロシアの軍事·技術援助獲得にあると強調した。北朝鮮軍の派兵で得られる外貨収入は、北朝鮮の従来の収入源である暗号通貨3億2000万ドル、海外派遣労働者の送金2億7000万ドル、石炭の密輸5億5000万ドルと比べると、大きな差はないといことである。
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