
犠牲に対する記憶と補償 vs 忠誠心の宣伝用
: 韓国と北朝鮮の報勲政策の違い

ユン・スンビ、ソウル基督大学教授(ヒューマン社会サービス学部)
朝鮮戦争勃発75周年を控えた今、国家の「記憶方式」は戦場にいた者らの生と死をどのように記憶しているのかという質問に戻る。南北の報勲政策は、まさにこの質問に対する国家的な回答であり、体制の素顔を示すバロメーターでもある。
韓国の報勲は、自由と独立、民主化のために身を捧げた人々に国家が尊敬と責任を果たす装置である。法律で体系化された支援は個人の犠牲を記憶し、国民全体が愛国の価値を共有できるようにする。
一方、北朝鮮では、報勲を「革命継承」の道具として使用する。植民地時代の抗日闘争、朝鮮戦争、そして金日成一家に忠誠した者たちを「革命烈士」と呼び、体制の正当性を強化することに重点をおいている。韓国が報勲を民主共和国の責務とするなら、北朝鮮は「革命国家」の忠誠度を計るものである。

韓国は「国家有功者礼遇等に関する法律」(1984年制定)によって報勲対象と支援項目を詳細に規定している。計87の条項と附則を通じて補償、教育、医療、就職、住居、貸付、葬儀など包括的支援体系を備えてきた。
支援対象は独立有功者、朝鮮戦争による戦没·戦傷した軍警、民主化運動犠牲者、殉職公務員、除隊軍人など国家発展と安保に寄与したすべての人々だ。礼遇は犠牲の大きさと遺族の生活程度を考慮して適用され、「国家が最後まで責任を負う」という原則の下で行われる。
一方、北朝鮮は別途に法律はなく各種の「規定」と「決定書」によって報勲対象を管理する。朝鮮人民軍戦死者遺族支援、除隊軍人の職業保障、子供教育の保障などが主要な枠組みだ。北朝鮮が規定を基に保障する内容は、住宅提供、食糧配給、職業紹介、学用品の支援などである。
しかし、このような「保障」は、体制忠誠度を基準にし、階層分類によって支援水準に差が生じる。報勲が権利ではなく、「恩恵」の性格を帯びている。
韓国における報勲の核心は、犠牲に対する「公共の記憶」と補償だ。国立墓地に埋葬、顕忠日追悼行事、報勲病院などは市民の日常の中に報勲の意味を刻印させる。教育と広報も国民統合の装置として機能する。
一方、北朝鮮は「宣揚事業」に力を入れている。抗日闘士、戦争英雄に授与される「共和国英雄」、「努力英雄」の称号と記念勲章は忠誠の象徴であり、後代に対する教育手段だ。遺児は別の機関で教育を受け「革命家の子孫」という象徴資本を持つことになる。報勲はすなわち「革命遺産」の継承である。
韓国は報勲予算を毎年拡大し、民間後援まで連携する方向に発展している。2024年、報勲部の予算は約6兆ウォンに達し、報勲家族福祉支援を強化している。
北朝鮮は、体系的な予算公開をしていない。ただし「革命遺産」として包装された報勲政策は経済難の中で粗末に運用されているのが実情である。特に金正恩時代に入って国家財政が核開発、軍備増強に集中し、実際的報勲は「宣伝用」に近いという評価もある。
報勲は単純な福祉政策でなく、国家がどのように自国の過去を記憶し、未来を設計するのかを示してくれる社会契約の一環だ。韓国の報勲制度が法と制度を通じた体系的運営に根を置くなら、北朝鮮の報勲は「忠誠の政治」と「宣伝の象徴」にとどまっている。
つまり報勲はその社会が人間の尊厳をどのように扱うか、犠牲をどのように称えるか、そして次の世代に何を継承させるのかを示す鏡でもある。
報勲の違いは、まさに体制の違いであり、報勲に対する認識の差異は統一以後、韓国社会が治癒し統合しなければならない課題となるだろう。