
「熱い韓半島」の7月が南北関係に与える意味

キム・ヒョンソク前統一部次官
過去の歴史において7月というのは、南北関係において多くのことが発生した月だ。1972年、南北当局の最初の合意である7.4共同声明の採択、1994年7月8日の金日成主席の死去、1953年の7.27休戦協定締結が、歴代南北関係の事案のうち7月中に発生した主要事案である。個人的には、北朝鮮との会談代表として開城の子男山旅館において、朝鮮戦争で断絶した京義線列車をソウル駅から開城間で1日1回運行することを合意した日が2007年7月7日だった。南北関係において挫折と希望をもたらした7月だと言える。
2025年7月は、南北関係においてどのような歴史的なことが起こるであろうか。
2019年2月に北朝鮮はベトナムのハノイで米国との核交渉が決裂した後、南北関係断絶を追求してきた。2020年、開城の南北共同連絡事務所を公開の中で爆破し、米国と直接交渉に自信があるかのように、韓国が仲裁者の役割を果たす必要がないという明確なメッセージを示した。尹錫悦政権の「大胆な構想」は、すなわち北朝鮮が非核化のための対話に乗り出すなら、人道的支援はもちろん、経済協力と体制保障ができるという提案だった。しかし北朝鮮は金正恩の妹の金与正を通じ「紺碧の海が桑畑に変わるというような非現実的な提案」と述べ、断固として拒絶した。

2023年末からは「戦争中である敵対的な二国家論」を主張し、南北連結道路の断絶後に防壁を設置し、祖国平和統一委員会など統一関連機構の廃止と統一関連用語を削除するなど統一の痕跡を消している。これまで南北対話の場所として使われていた板門店における北朝鮮地域の「統一閣」を「板門店館」に改称し、「白頭から漢拏」というスローガンも「白頭から松岳」に変更したという。韓国に対する呼称も「南朝鮮」とは言わず「大韓民国」としている。
このような北朝鮮の行動は2019年の「何の前提条件なしに開城工業団地事業と金剛山観光事業再開」という北朝鮮の提案を国際社会の対北朝鮮制裁を理由に実行に移せなかった韓国の力量不足として直接的に経験させ、併せて三回もの会合で構築した米国との首脳協議チャンネルに対する自信感から始まっていると言える。
つまり、体制の保全と経済成長を図る北朝鮮にとっては、韓国の活用価値が格段に低下したのである。ただし、北朝鮮内の特に若い層を中心に広がっている韓国の韓流文化による北朝鮮内部統制力の弱体化の危険性を遮断するために北朝鮮の金正恩は「反動思想文化の排撃法」などを通じて、内部の韓流文化の拡散を厳格に遮断し、韓国は統一を行う対象ではなく敵対的な民族という思想を北朝鮮住民たちに注入している。
北朝鮮に対して友好的な李在明政府がこの6月3日に発足した。平和共存の繁栄を基調にしたうえに北朝鮮が敏感に反応していた対北朝鮮放送をまずは中断し、民間団体の対北朝鮮ビラ散布についても積極的な制御という努力を行っている。いわゆる北朝鮮との対話協力に友好的な雰囲気を造成しようとする積極的な努力である。
しかし、北朝鮮はこれに対して、明確な反応を見せてはいない。国境付近の地域住民の睡眠を妨害していた対南放送を中断したほかには、韓国との意味ある意思疎通と協力の可能性を見せてはいない。代わりに、北朝鮮はウクライナ戦争への追加派兵など、ロシアとの協力を強化し、着工してから11年ぶりに元山葛麻海岸観光地区を竣工し、いわゆる「自力更生」による経済成長を図る動きを見せている。
さらに、金正恩委員長との親密な関係を取り上げ、北朝鮮東海岸にコンドミニアム開発と北朝鮮との葛藤を解決できるという自信を示しているトランプ大統領に対しては、国連チャンネルでトランプ大統領の親書受領を拒否したという報道が出ているなど、積極的な対話の試みよりは状況変化を観望している態度を見せている。
北朝鮮は核保有国としての地位が認められることを望み、体制保障と経済成長を図ろうとしている。このような側面で北朝鮮は米国を「第一の主敵」としながら、交渉しなければならない絶対的な対象として認識している。ウクライナ戦争でロシアの北朝鮮に対する軍事・経済的な支援と協力が行われているが、これは一時的かつ、米国との生存を念頭に置いた戦略的葛藤を見せている中国が無制限に北朝鮮を支援してくれないという厳然たる現実を、北朝鮮の金正恩政権が受け入れるしかないだろう。
核兵器が経済発展を保障していないという状況において、経済的な困難によって北朝鮮の住民はもちろん、政権に忠誠している支配層も動揺し統治の基盤が揺らぎかねないという懸念が、北朝鮮の若い指導者の金正恩の悩みの種でもある。
「12日間戦争」でひとまず幕を閉じたイランの核施設に対するイスラエルと米国の別名「真夜中のハンマー」という合同軍事作戦を見ながら、おそらく北朝鮮は核兵器保有に対する意志をより強化したものと予想される。これは、北朝鮮の非核化を図る韓国と国際社会の努力がその分難しくなったという意味だ。しかし、北朝鮮が核兵器を持って脅威を打ち出すほど国際社会の制裁は強化され、中国とロシアも、国連安保理の追加制裁の遮断以上の協力ができないことも事実である。このような点で、北朝鮮は社会主義大国を建設するのに必要な体制の存続と経済成長のために非核化をカードとして、米国との交渉に乗り出す選択をするしかないだろう。
今後の韓半島情勢はウクライナ戦争の終結問題とともに、関税交渉と米中葛藤、中東における戦争などの難題解決に没入しているトランプ大統領が、北朝鮮にどれほど積極的な関心を持って行動するのか、そして北朝鮮・中国・ロシアの構図の中で声を高めている北朝鮮の選択はどのようなものであるのかが主要変数と言えるであろう。
このような状況において韓国の李在明政府の課題は明確だ。北朝鮮の核による脅威を中断させ、大韓民国と国際社会に開放的に協力させるという選択を誘導させることだ。このためには、確固たる韓米同盟を土台に、北朝鮮の脅威に対する抑制力を強化するなど「揺るがない国防態勢」を維持しながら、国益と実用を基準とし、国際社会に対して「賢明な外交」をする必要がある。このような土台のうえでは、保守と進歩の区分なしに知恵と力量を結集して北朝鮮が開放と協力の道に進むように、恐れず、苛立たず、一貫した「現実的な統一の努力」へと進むべきであろう。<終>